和紙名刺ってきれいに印刷できるの?和紙印刷の特徴を解説

【和風名刺のつくりかた】第9弾のテーマは、和紙印刷の特徴についてです。

和紙と聞くと書道や日本画に使われている用紙や、障子や提灯の材料といったイメージで、印刷物に使われている紙というイメージを持つ方は少ないのではないでしょうか?

和紙名刺を取り扱っている当社でも、
「え、和紙に印刷ができるんですか?」
と、お客様に驚かれることがよくあります。

そこで、今回の記事では、和紙と印刷について解説します。和紙に美しく印刷するためには、和紙や印刷技術の特性を知ることが大切。和紙名刺の作成を検討している方は、ぜひご一読ください。

スタッフK

前回の記事では、おしゃれな和紙名刺のデザインの特徴について解説しました。今回の記事では、和紙印刷の特徴を解説します。

1.和紙との相性が良い印刷方法は?

長い繊維が絡み合うように漉かれた和紙は、柔らかな手触りや味わいのある色合いが特徴的。手作りの温かみが感じられ、高級感や上品さを表現できます。その一方で、西洋紙に比べると表面の凹凸が目立ち、色や厚みも均一ではないため、「印刷には向かないのでは?」と思われがちです。

印刷と一口に言っても、実は数多くの印刷技術があります。インクを使って紙へ文字や画像を転写する方法が異なるため、和紙への印刷に適したものとそうでないものがあります。

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それぞれの特徴をご紹介します!

インクジェット印刷

インクジェット印刷とは、微細な粒状のインクを紙に直接吹き付ける印刷技術です。ヘッドが直接紙に接触しないため、繊細で表面が均一ではない和紙にも印刷しやすい印刷技術です。

使用されるインクの色はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4種類が基本で、顔料インクと染料インクから選べます。顔料インクを使用する場合は、小さな文字も滲まずにはっきり表現できるのが特徴。染料インクは、用紙の内側までインクが浸透するため色が馴染みやすく、グラデーションなどの繊細な色表現も可能です。

レーザー印刷

レーザー印刷は、トナーと呼ばれる粉末状のインク粉をレーザーで感光体ドラムに吸着させて印刷する方式です。オフィスで利用されるコピー機に多い印刷方式で、大量の文章を素早く効率的に印刷できるのがメリットです。

熱を使ってトナーを紙に固めるため、インクの滲みが少なく、滲み止めが施されていない和紙でも印刷が可能です。ただし、和紙へ印刷する場合、給紙ローラに紙粉が付着しやすいため、印刷前に和紙の表面をはらうなど紙を整える必要があります。

オフセット印刷

オフセット印刷は、版に印刷したインクをゴムのブランケットに転写(オフ)し、用紙に転移(セット)して印刷する技術で、平版印刷とも呼ばれます。新聞、書籍、カレンダー、ポスターなどの商業印刷で最も幅広く使われている方法です。

オフセット印刷機は自動給紙で紙を印刷機へ送りますが、和紙の場合は紙が通りにくいことがあります。和紙の場合は、手で紙をセットする手差し方式がおすすめです。

シルクスクリーン印刷

シルクスリーン印刷は、ポリエステルやナイロンなどの樹脂を素材とするスクリーンと呼ばれる版板に、インクを流し込んで印刷する技術です。スクリーンのメッシュ状の穴からインクを流し込むため、孔版印刷とも呼ばれています。

シルクスクリーン印刷は、紙・木・金属・布・陶磁器・プラスチックなど、どんな素材にも印刷できるのが特徴です。凹凸の多い和紙でも、和紙特有の質感や風合いを損なわずに印刷できます。また、蛍光インク、ラメインクなどの特殊なインクで、ワンポイントを印刷したい時にもおすすめの印刷方法です。

活版印刷

活版印刷は、凸版にインクを付けて紙に転写する印刷方法です。ヨーロッパで15世紀に発明された印刷技術で、ルネッサンス期の3大発明のひとつに数えられています。印鑑やスタンプなどと同じ原始的な印刷方法で、小さな文字でも美しく仕上がるのが魅力。文字が印刷された部分は紙が凸版に圧縮されて凹むため、厚みのある和紙を使うと、立体感のある味わい深い名刺に仕上がります。

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2.オンデマンドとオフセットの違いとは?

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オンデマンドは版を作らない印刷方法

オンデマンドは英語では「on demand」。「要求(demand)に応じて」という意味のフレーズで、その名通り、要求があった時に必要な分だけを印刷するという意味です。

オンデマンドに含まれるのは、インクジェット印刷とレーザー印刷の2種類です。どちらも版を制作しない印刷方法で、パソコンからデータ入稿後すぐに印刷処理が可能です。

オンデマンドのメリット

・少部数から印刷できる
・版を作らないため短期間での納品が可能である
・内容の差し替えが簡単なので、内容の一部を変えた複数バージョンを作りやすい
・必要な枚数だけを印刷できるため、在庫を抱える心配がない

オンデマンドのデメリット

・枚数が多い場合はコストが割高になる
・色合いが安定しにくい
・細かなデザインには不向き

オフセットは版と紙とが直接触れない印刷技術

オフセット印刷は、上記で説明した通り、印刷したインクをゴムのブランケットに転写(オフ)し、用紙に転移(セット)する印刷方法です。データ入稿後に、印刷用の版を作成してから印刷します。

オフセットのメリット

・写真や文字を美しく印刷できる
・にじみが起こりにくく、安定した品質に仕上げられる
・大量に印刷する場合はコストが抑えられる

オフセットのデメリット

・製版の工程があるため納期まで時間がかかる
・少部数ではコストが割高になる
・デザインや掲載内容を変更する場合は、再び製版する必要がある
・一度に大量の名刺を発注し、在庫を抱えるリスクがある

スタッフK

3.和紙にきれいに印刷するコツとは?

これまでにご紹介した印刷方法はどれも、表面の凹凸が少なく均一な西洋紙に印刷することを想定して確立された技術です。そのため、和紙特有の風合いを損なわずに美しく印刷するためには、コツが必要です。ここからは、和紙に美しく印刷する3つのコツをご紹介します。

印刷方式にあった和紙を選ぶ

和紙の中には、インクジェット印刷やレーザー印刷用の加工を施したものもあります。紙粉をおさえたものや、インクがにじまないように薬品「にじみ止め」を施したもので、和紙ならではの難点を解消して美しい印刷を実現します。

仕上がりのイメージに合った印刷方式を選ぶ

どんな名刺に仕上げたいのか、仕上がりのイメージに合った印刷方法を選ぶことも大切です。

例えば、会社のロゴカラーにこだわりのある場合は色の調節が可能なオフセット印刷、ラメインクや蛍光インクなどで差を付けたい場合はシルクスクリーン印刷、字が凹んだレトロな雰囲気の名刺を作りたい場合は活版印刷、縦書きと横書きの2バージョンを少部数ずつ作りたい場合はオンデマンドのインクジェット印刷など、最も理想に近い名刺に仕上げられる印刷方法を選びましょう。

色数を抑えたシンプルなデザイン

どの印刷方法を選ぶにしても、和紙の質感を活かした美しい名刺を作るためには、和紙の美しさを引き立てる名刺デザインが欠かせません。色数を抑え、掲載情報を厳選したシンプルなデザインが、和紙には最も似合います。

和紙印刷のまとめ

和紙に向いた印刷方法の特徴や和紙に美しく印刷するコツについて解説しました。

和紙の印刷に向いた印刷方法

  • インクジェット印刷
  • レーザー印刷
  • オフセット印刷
  • シルクスクリーン印刷
  • 活版印刷

この中でオンデマンドと呼ばれる印刷方法は、インクジェット印刷とレーザー印刷です。

スタッフK

和紙に美しく印刷するコツ

  • 印刷方式にあった和紙を選ぶ
  • 仕上がりのイメージに合った印刷方式を選ぶ
  • 色数を抑えたシンプルなデザイン

西洋紙を使った印刷に比べると、和紙を使った印刷が難しいのは事実です。今回ご紹介した印刷方法の特徴を知った上で、仕上がりのイメージ、コスト、納期なども考慮しながら、適切な印刷方法を選んでください。また、和紙の美しさを引き立てるような、色数を抑えたシンプルなデザインを意識することも大切です。

スタッフK

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