【手漉き和紙ができるまで】原料が和紙になるまでの製造工程を解説
【和風名刺のつくりかた】第18弾のテーマは、手漉き和紙の製造工程です。
和紙名刺に使われている手漉き和紙は、職人が伝統的な技法を守りながら一枚ずつ丁寧に漉いた極上の紙です。西洋紙にはない独特の風合いや心地よい手触りが魅力で、格式の高さが感じられる唯一無二の名刺に仕上げてくれます。
手漉き和紙とは、そもそもどのようにして作られているのでしょうか?
今回の記事では、和紙の原料から美しい和紙ができるまでの製造工程を、詳しく解説していきます。和紙名刺を作ろうか検討されている方は、ぜひご一読ください。

この記事は、次のような方におすすめです。
- 和紙を使った名刺を作りたいと考えている方
- 手漉き和紙が作られるまでの工程を知りたい方
前回の記事では、縦型名刺と横型名刺について解説しました。今回の記事では、手漉き和紙の原料や製造工程について詳しく解説します。
1.和紙に使われている原料とは?



和紙の主な原料は、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)という木の、靭皮(じんぴ)という植物の外皮の下にある柔らかな内皮の繊維です。西洋紙の原料も、針葉樹や広葉樹の木材から抽出された木材パルプという繊維ですが、和紙に使われている靭皮繊維の方が長いのが特徴です。
ここからは、和紙の原材料となっている3種類の樹木とネリに使われている植物について解説します。
楮(こうぞ)
楮はクワ科コウゾ属の落葉低木で、ヒメコウゾとカジノキの交配種と言われています。樹高は約3mで、春には薄い黄緑色の花が穂状に咲き、六月ごろに赤く実が熟すのが特徴。日本の野山や川原に自生していることから、古くから和紙の原料として使われてきました。生長が大変早く栽培しやすいため、和紙原料の中では最も多く使われています。
繊維が長く強靭なので、書道用紙、障子、番傘、提灯などに使われています。
三椏(ミツマタ)
三椏はジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木です。原産地は中国中南部やヒマラヤ地域ですが、日本でも中国地方や四国に自生しています。枝が三つに分かれて生えることから、ミツマタと呼ばれるようになりました。小さな白と黄色の花が枝先に集まって咲く様子が美しく、一般家庭で観賞用の庭木として植えられることもあります。和紙の原料として使われるようになったのは、江戸時代からです。
雁皮(がんぴ)
雁皮は三椏と同じくジンチョウゲ科の落葉低木です。本州から九州や沖縄、朝鮮半島、中国南部など幅広い地域に自生していますが、栽培が難しいため和紙の原料として使われるものは、自生している自然種です。人が手入れをしながら栽培されたものではないため、繊維が揃っていなかったりチリなどが入っていたりして、和紙の原料として使う場合は、他の2種類に比べると処理に時間がかかります。
トロロアオイ
トロロアオイは、アオイ科トロロアオイ属の植物で、オクラに似た花を咲かせることからハナオクラとも呼ばれています。トロロアオイの根から得られる粘液は、和紙を漉くときに楮、三椏、雁皮などの繊維原料と一緒に水に混ぜる「ネリ」の材料として使われています。
2.手漉き和紙ができるまで



和紙には伝統的な手漉き技法で作られている手漉き和紙と、洋紙の製紙技術を参考に抄紙機を使って製造されている機械漉き和紙の2種類があります。

和紙名刺に使われている手漉き和紙は、どうやって作られているのですか?

ここでは、楮から美しい手漉き和紙ができるまでの工程をご紹介します。今回ご紹介するのは、伝統的な和紙の作り方で、産地によって原料や工程が異なる場合もあります。
- 1.皮を蒸す
- 楮の皮を乾燥させたのち、大きな釜で3~4時間蒸し、繊維を柔らかくします。

- 2.皮を剥ぐ
- 蒸し終わった楮に冷水(びっくり水)をかけ、冷めないうちに根元から先端に向けて皮を剥ぎ取ります。ナイフで下から上に向かって表面の黒皮を丁寧に削り取ります。白皮にします。

- 3.天日で乾燥させる
- 白皮は天日で乾燥させます。使うまで乾燥したままで保存します。

- 4.水槽につける
- 乾燥保存していた白皮を、水槽につけて水に戻して柔らかくします。

- 5.白皮を煮る
- 繊維に含まれる不純物を外に出し柔らかくするために、アルカリ液で繊維を煮ます。沸騰したお湯に、石灰(水酸化カルシウム )、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、または苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を入れます。白皮を入れて約2時間煮熟して、火を止めたら自然に冷まします。
- 6.洗い流す
- 煮熟した楮が冷めたらザルにあけ、滑りがなくなるまで流水で水洗いします。
- 7.チリを取る
- 水洗いが終わった白皮を水につけ、皮のキズやチリを取り除きます。 和紙の品質を左右する大切な作業なので、丁寧に行います。

- 8.叩解(こうかい)する
- 叩解は長い繊維を細かく叩きほぐす作業です。たたき台に乗せて木の角棒で、時々向きを変えながら、丹念に叩きほぐしていきます。大量生産の場合は機械を使って叩解することもあります。

- 9.トロ搾り
- トトロアオイの根を叩き潰したものを冷水に浸し、手で軽く混ぜ合わせながら粘液(トロ)を抽出します。

- 10.すき舟を作る
- 水を入れた水槽(舟)に細かくした楮の繊維を入れ、竹の棒で攪拌します。紙漉きに適した粘り具合になるまでトロを混ぜ入れます。繊維が細かく均一に分散するまで混ぜます。

- 11.紙を漉く
- 木枠にすのこを取り付けた簀桁(すけた)と呼ばれる道具を使って、すき舟の舟水をすくいます。前後左右に揺り動かしながら舟水をろ過し、好みの厚さになるまで繰り返します。

- 12.水分をしぼる
- 漉き終わった紙は湿ったまま重ね、一晩そのまま置いて自然に水分を流します。翌日に、さらに残った水分を出すため、大きめの板で挟んで圧搾機で圧力を加えて水分を搾り出します。

- 13.板張りで乾燥させる
- 木枠にすのこを取り付けた簀桁(すけた)と呼ばれる道具を使って、すき舟の舟水をすくいます。前後左右に揺り動かしながら舟水をろ過し、好みの厚さになるまで繰り返します。

- 14.寸法に合わせて切る
- 完成した和紙は、製品によって決められた寸法に合わせて切ります。


素敵な手漉き和紙が作るまでには、ずいぶんと多くの工程が必要なのですね。

手間と時間をかけて、一枚ずつ丁寧に漉き上げているからこそ、独特の風合いと優しい手触りの和紙に仕上がるのです。
まとめ:手漉き和紙を使った贅沢な名刺を



手漉き和紙の作り方をご紹介しました。
手漉き和紙が完成するまでには、実に多くの工程があり、手間も時間もかかります。だからこそ、マシンメイドの紙では得られない、強くて温かみや柔らかさのある独特の風合いの紙に仕上がるのです。
こんな贅沢な紙を、名刺に使ってみませんか?手漉き和紙を名刺の用紙として使うと、以下のようなメリットがあります。
和紙名刺のメリット
・受け取った人に強い感銘を与える
・高級感や格式の高さを印象付けるので、ブランディング効果が高い
・手漉き和紙は一枚一枚表情が異なるため、世界に二つとない特別感のある名刺に仕上がる
・和紙は再生可能な天然素材を使っているため、環境に優しい
・日本の伝統文化と職人の技を伝えられる
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